2017年11月6日月曜日

お釈迦さまは二度、涅槃に入られました。一度目は三十五歳のいわゆる成道(悟りに到達すること)の時、二度目は人間の肉体が滅びる八十歳の時です。肉体をもったままの涅槃は有余涅槃、肉体のない涅槃を無余涅槃と言います。肉体がある限りは苦痛や限定が生じてくるので、無余涅槃の方がより完全な涅槃と言えるでしょう。 お釈迦様は生涯に於いて二度の重要な供養を受けたと言われました。それはそれぞれの涅槃の前に受けた食事の供養を指しています。最初の涅槃の前にはスジャータという村娘から食事の供養を受けました。苦行では悟ることはできないと気づかれたお釈迦さまは、禅定に入られます。その際にスジャータは甘いミルク粥を供養しました。それがあったからお釈迦さまは悟りを開けたと言ってよい供養でした。 もう一度は鍛冶屋の息子チュンダからの供養でした。チュンダの供養は八十才を迎えられたお釈迦さまに対してされたもので、年齢によって体が弱っておられたお釈迦様は、チュンダの供養した食事を召し上がって食中毒になってしまいました。食事の中のキノコが原因ではなかっただろうかといわれています。自らを責め嘆くチュンダのことを案じ、人間の肉体の死を目前にしたお釈迦さまは弟子たちにスジャータとチュンダの供養のすばらしいことを話されました。 「私は生涯で二度の忘れられない尊い供養を受けた。一度目は尼連禅河のほとりでスジャータに受けた供養であり、二度目はクシナガラーのチュンダの供養である。二人の供養によって私は涅槃に入ることができたのだ。」

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